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「私は、あの子の姉なの…。
例え、あの子が…どうなろうと…。たった一人の弟なのっ。」
「・・・。」
「お願い…っ。」
最後にそう言って、シルファは崩れるように座り込んだ。
うずくまって、肩を震わせる。
その痛々しい姿に、ノエルもまた息苦しさを覚えた。
「…わかった。でも…、これだけは約束して…。」
低く静かな声が、シルファの耳に届く。
「絶対に僕から離れないこと。それと、僕が良いと言うまで、声を出さないこと。」
「・・・こ…え?」
「僕と君の周りに、不可視の結界を作る。それで、誰かに気づかれることは無くなるから。
でも、声を出せばその瞬間、不可視は破られる。だから、それだけは守って。」
「…ノエル…。」
「ルースに怒られるだろうなぁ…。猫にされるくらいならまだいいけど…。」
困ったように言って、ノエルはため息をこぼす。
「・・・ありがとう。ノエルっ。」
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