赤い目

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「ゥォォォオオオオ―――――ッ!」 獣の遠吠えにも似た唸り声を上げて、村長はぐるんと自らの体をひねった。 「ぅぁあッ?」 その勢いで、アンジェラがバランスを崩し体ごと跳び上がる。 「アンジェラッ。」 ノワールは変化していない方の腕でアンジェラの体を受け止めると、村長から距離を置いてアンジェラを下した。 鎖の束縛から逃れた村長は、体から流れる黒い血もそのままにこちらを向く。 「はーっ、はーっ、はー…ッ。」 肩を大きく前後させ、どたッどたッっと足音を響かせながら近づいてくる。 「もう、人間じゃねぇな、ありゃ。」 「哀れね。」 すでにボロボロにも見える化物じみた体だが、その赤い目だけはギラギラと禍々しい光を放つ。
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