赤い目

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「カルテット!!」 空いた左手から飛び出した4本の鎖は、横たえた村長の両手両脚を縛りつける。 「アンジェラッ!目と耳閉じとけ!」 上空からノワールが叫び、アンジェラは目を閉じて顔を背ける。 瞬間。 ノワールの顔に紋様が浮かび上がり、黒い邪気を孕んだ力が辺りを覆った。 「我に従いし40の下僕よ。我が真の名の下に集え…。我が名はアスタロス!」 低い声が響いた瞬間。 「ぉぉぉおおお――――・・・っ。」 地の底から湧きあがってくるような、人のモノとも獣のもともつかない、異様な悲鳴のような叫びが響く。 アンジェラは急激に周りの温度が下がったように感じ、微かに体を震わせながら、目をぎゅっと閉じ、耳を塞いだ。 地面に張りつけられた村長の真下から、その腹ごと突き破るように、無数の真っ黒な影が飛び出してくる。 「喰らい尽くせ。」 酷く冷たい、そして容赦の無い低い声が言った。 その命令に従うように、黒い影は空中で弧を描いて向きを変え、再び村長の体を突き抜け、地の底へ還って行った。
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