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ドクン…。
ドクン…。
ドクン…。
目の前で起きたことの恐怖に、シルファの心臓が鈍い鼓動を打つ。
ザァァアアアッ!
視界の隅で、燃えていた火柱が消えさる。
「ありゃ、ルースのウンディーネだな。」
「・・・っ。」
そうだ。
トール・・・。
「シルファ、離れていて。ね?」
アンジェラの声は、シルファには届いていない。
トールが、あそこにいる。
「トール・・・。」
「シルファ…ッ。」
「トールぅう――――っ!」
シルファが叫んだ瞬間、強い風が巻き起こる。
「っ。」
「シルファッ!」
風が、彼女の意志に従うように、その体を運ぶ。
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