望み

10/19
前へ
/1021ページ
次へ
比較的小物の魔獣を短時間で倒し、報酬を受け取る。 肩の傷が開き、痛みが走る。 迷いながら、あの医者の所に来ていた。 「…アンタ…。どのツラさげて…ッ。」 最初に出てきたのはアキだった。 顔を真っ赤にして、手に持っているお玉を振り上げる。 けれど、それを振り下ろされるよりも先に、ルースは頭を下げた。 「悪かっ…た…。世話に…なったのに…。」 「…な、なに、いきなり…。」 「あの…、ガイ…さん…は?」 「…お、お父さんなら、いるわよ。待って。呼んでくるから。」 「…悪い…。」 「いいけど。あ、アンタ、また…。傷開いてるんじゃない?それ、血?」 「…。」 「もうッ。とにかく、入って、待っててッ。」 アキはルースの、怪我をしていない方の腕をぐっと引っ張ると、半ば無理やり家の中に引き入れた。
/1021ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55553人が本棚に入れています
本棚に追加