望み

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「ふうん。双子で生まれて、一方は魔力持ち、一方は無し…か。よく喧嘩になったろー。」 「いや?」 「ん?そうか?ああ、まあ、男同士とはまた違うか。 俺も、兄キがいてな。魔力があるのは俺だけだった。 ガキん頃は、お前は化物だとか、なんとか…。いろいろ言われたけどな。」 『こっち来んじゃねぇよ。バケモノ。』 『気味悪いのよ、その髪と目。』 血の繋がった兄弟でありながら、自分を蔑んだ兄と姉。 アストレイ家の事業が失敗した後、彼らがどうなったかは知らない。 両親は、故郷の街から離れ、小さな村で細々と暮らしているはずだ。 「まあ、腹も立ったが、要するに…羨ましかったんだろうな。 今となっちゃ、俺よりもよっぽど腕のいい医者だ。もちろん、普通のだがな。」 あまりにも違いすぎるなら、いっそ、離れていた方が良かったのだろうか?
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