望み

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ルースは徐に立ち上がって、ドアへと向かう。 「一度連れて来る気は無いか?」 その背中に、ガイが呼びかける。 「事情は知らんが、一人で背負いこむな。ガキはガキらしく、大人を頼ればいいんだ。」 もっともらしい言葉に、ルースは怒りを覚え、ぐっと唇を噛む。 「…その大人が、アイツをあんなふうにしたんだ…。」 「なに…?」 「魔力を持っていないというだけで、人としても扱われずに。俺が学校に入ってる間に、アイツは実の親に売られた。」 「…ッ。」 「アイツを買った男は、ただ部屋に閉じ込めて、アイツを玩具扱いした。それを、やっと…ッ。」 氷の色の瞳が、憎悪と悲しみに染まる。 一筋、こぼれた涙は、まるで氷の粒のように綺麗だ。
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