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魔道士の城
ヒュォォッ!
小さな竜巻が土埃を上げて、地面に降り立つ。
やがて糸が解けるように風が消え、そこに二人と一匹が現れる。
先ほどまで辺りに立ち込めていた焼け焦げの匂いは無く、夜の森の湿った空気と静けさだけがそこに在る。
「…ここ…。」
シルファはキョロキョロと辺りを見回し、そして、そこに建つ古めかしい屋敷を見上げ息を呑んだ。
村から見ていた時よりもずっと大きく、異様な雰囲気を持つそれは、昔話に聞くような吸血鬼や悪魔が棲む城のイメージに近かった。
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