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父の選択
ルースの部屋の前で、うろうろうろうろ。
どれぐらいそうしていたのかもわからない。
うろうろうろうろ。
「はぁ・・・。」
そしてため息。
ガチャ!
「ひぁっ?」
突然目の前のドアが開いて、シルファは跳び上がった。
開いたドアのそこには、ルースが立っている。
少し呆れたように、氷色の目がシルファを見つめる。
「あ、ああああ、あの、えー…ッ。」
パ二くって、言葉が言葉にならない。
そんなシルファに、ルースは少し苛立った口調で言った。
「いつまでウロウロしてんだ。入るなら入れ。」
「は、はいっ。・・・え?」
「…どうすんだ?」
「え、えっと、い…んですか?」
「・・・用が無いなら寝るけどな。」
「えっ。いえ、あの…っ。」
せっかくルース様の方から開けてくれたのにっ。
「あのっ。聞かせてくださいっ。その…ッ。父のことっ…とか…。」
「…入れ。」
「…はいっ。ありがとうございますっ。」
そうして、部屋の中へと戻って行ったルースを追って、シルファは初めてルースの部屋に入ることになる。
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