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本心は俺の隣で笑ってて欲しかったのかもしれない。
でも幸せに浸ってるアイツを見ると…これで良かったのかなって思う。
正直この自分の感情がどの分類なのか分からなくなる。
カットウ?
コウカイ?
××××?
―――――。
文化祭準備で賑う校内。
準備や打ち合わせをする実行委員ども。
毎年、スポーツ部は力仕事要員として借り出される。
日曜日。
遠くで色んな声が響いてるけど、北校舎3階はあまりヒト気が無い廊下だった。
つか、よく後悔してた。どしてバスケ部に入ったんかなー。って。
でもあの日、朝っぱらから片桐に会えたせいで俺のテンションが妙に高くて
「何で廊下にケータイ落ちてんだ?女子のだったら気まじーな」
何にも疑わずに廊下キョロキョロした後、拾ったケータイ勝手に見た。
――――――新着メール1件
”おはよう。もう駅に居るよ。西口の掲示板の横で待ってるね!”
「女?いや、絵文字無ーし、男からか?」
ガタッ!!!
ラジカセが落ちたような音がして、とっさに音の方向へ振り向いた。
ケータイは反射的に閉じた。
音はすぐそこの視聴覚室から聞こえた。
文化祭前は資材置き場だから誰か居るんだなぁ位しか思わなかった。資材を取りに来たから、帰りに職員室にケータイ届けりゃいいか。
視聴覚室のドアを開けようとした手が止まった。
「生意気なんだよ。」
言われたのは俺じゃない。ドアの向こう側から。
少し除いてみた。
高等部生徒数人。
座ってるヤツ、ケータイいじってるヤツ、窓の外見てるヤツ、嘲笑浮かべてるヤツ。
ヤツ奴奴!
…後、1人。
あぁ?
どして私服なんだ?
誰だろ…んんーよく見えない。
「ここは高等部の資材置場だから中坊どもに出入りされたくないんだよね。」
悪びれた高等部が声を高らかにして言う。
私服のヤツがため息をした後に返事をする。
「だから明日以降、生徒会で改めて話し合いますよ。休日に呼び出されても…僕、忙しいんで。」
聞いた事のある、声。
そうだ、中等部の生徒会長だっけ?
忙しいって…オシャレして何処へお出かけかねぇ~。
最近のガキはマセテんなぁって少し苦笑した。
…。
…オシャレ?
その瞬間、俺の中で全てフラッシュバックした。
朝オシャレ文化祭ポスター3ツ年下ニヤケタ顔職員室デ喋ベッテタヤツ広瀬オハヨウ西口
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マ
っ
て
る
ね
片桐
”
拾ったケータイをまた見直す。
同時に雨が降り出した。
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