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「いらっしゃい」
店のカウンターには若い女性が座っていた。
不安なのだろうか。落ち着かない様子でキョロキョロと視線を泳がせ、怯えた目でマスターを見つめ口をひらいた。
「こ、今晩は。あの、私…」
「大丈夫だよ、怖がらないで。電話をくれた方だね。」
マスターの穏やかな笑みに安心したのか、女性は緊張で強張らせた肩の力を少し緩めた。
「あの、本当に買ってもらえるんですか?」
「もちろんです。
あなたの愛情、買い取らせていただきます。」
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