キミ

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「チッ…。」 絡んできた男たちは 何かを感じたのか 黙って帰って行った。 その場でずっと立ち尽くしていた アタシにその人は歩み寄ってきた。 「だいじょぶ?」 「え、アッ、はい。 ありがとうございます!」 「まぁ、気を付けなよ。 あんなのあんまいないけどね。 勝手に女なんて言ってごめんね。」 その人がうっすら 笑いながら言った。 「いえ、だいじょぶです!」 キュンとした。 さっきまでは何とも 思っていなかったのに その笑顔を見て、顔が 熱くなった。 「あの…、お名前は?」 何で聞いたかは思い出せない。 「キミは?」 「アタシはソラです。 村山ソラです。」 「そう。俺は…」 「ソラー!」 遠くから菜緒が走ってきた。 「遅いし!何してんの?」 「えっ、いやさ。 今絡まれてさ、この人に 助けてもらって。」 「まじ?!てか、この人って 誰もいないけど。」 「えっ?」 アタシが振り返ると その人はもういなくなってた。 周りを見渡しても その姿はなかった。
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