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誰か普通の人がすぐそばでこの光景を見ていたなら、目も眩むような光と轟音と突風とその他諸々が魔法陣から発せられた、と思ったであろう。
しかし、それは錯覚にすぎない
。実際に物理的にあまり大きな変化は起きていないからだ。
人間は、強すぎたり特殊すぎたりする感覚を他の感覚として処理してしまう事が往々にしてある。
言うまでもないが説明すると、魔力ならびに神力が凄すぎて錯覚する、という事だ。
ルミィには光景は見えていないが、視覚に集中を持って行かれない分、周りで強烈な力が放たれた事を感じ、また同時にすぐ横のカルミナが意識の支えを失って前のめりになるのが分かった。
「うわ!? ……少しは考えてよ」
必死になって彼を掴み、引き寄せる。意識を失った体は思ったよりも扱いにくかった。
頭が床にぶつかる悲惨な音は聞かずに済んだようで、
(……ちょっとぐらい、良いよね……うん)
いわゆる、ひざ枕、という奴である。
<><><><><>
数十キロ離れた所からも、天から光のヴェールが下りているのが確認出来た。
月のない、新月の晩に夜空を縦に切り裂いて。
「師匠、これが『面白い事』ですか。なるほど」
「気に入った? あれを使った少年は将来、君を抜き去る可能性があるって話だ、とも言っておくけど」
「……もう、三度目ですよ、それ。量と質は比べられません。どちらも私より上だとしても、知識で抜かしてやります」
「言うねー。第二位王位継承者」
「師匠が師匠ですからね。零番中隊長。それから兄(アヤツ)が死なない限りそれは関係ない」
「普段からそれぐらい喋れば良いのに」
「私は私の道を歩みます。それにしても……生命の復活、美しいものですね」
「将来、人の命を任されるかもしれない君だから、一度はこれを、と思ってね、見せれてよかった」
「ええ。にしても綺麗……」
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