1.『優しいカル』

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「カル。聞いてる?」  心配そうに覗き込む眼鏡越しの白い瞳。 この子が二人目の女の子。妹の説明の間に忘れ去られてたと思うけれど。ルミィこと、 ルメリア=ノル=ミシェル って! 「ちょ、ルミィ! 顔近いよ!」 「あれー、兄さん照れてるよねー?」 「サリア、黙れっ」 「サラ、からかわないで」 二人からの言葉でサリアが撃沈されたところで(頬を膨らませて黙っているだけ)……気をとりなおして、と。  ルミィも黒髪、には違いないけど少し赤みを帯びているのかな? 確かに色だけ見れば黒だけど、日光に照らされた時なんかは三つ編みとかが赤色の反射で綺麗な輝きを放つ。  僕とは本当の兄妹のように過ごしてきた幼なじみで、サリアには姉のように接している。年齢は12歳と……多分、11ヶ月だったはず。  彼女は、人見知りなんだと思う……けど、確証がない。この家が建っている所は田舎の平原のど真ん中だし、学校にも行ってないから。 「で、カル? 設計図、出来た?」  もうそれ十回は聞いたよ? 「描きかけ。ルミィはそんなに気になるの?」 「あったり前」  お父さんと伯父さん(にしては外見が若いけど)そしてこの部屋にいる三人、で暮らしてるもんで、実質的に話し相手は決まってくる。 だから、というだけではないかもしれないけど、とにかく仲が良いんだと覚えておいて。  そして、彼女の普通の人と最も違う点が…… 「カル、補強お願いして良い?」 ほら来た。 「かの者の目の前の景色、脳に流し入れよ。 -光景注入-  魔法よ続け、-継続-」 彼女の頭の回りに青く光る朧げな輪が出来る。両目から始まり後頭部へと続く。 「ついでに三つ編みお願いしていい?」 はいはい。
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