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また説明することになるだろうし、ここでは詳しく言わないけど、ルミィは生れつきの視覚障害で僕が改良した『光景注入』を使ってぼんやり見える程度。
「いつもいつもありがと、カル」
特に何か言わなきゃいけない場面でなくても、ルミィは笑顔でこんな風にお礼とかをきちんと言う事が多い。なぜサリアはそうなってないのか不思議だ。
あ、目の事は……本人にとってはこれまでそれが普通だったから、負い目に思ったりとかしていないらしいけどね。
「で、サラ、古代魔法と通常魔法はね、発動方式も難しさもぜーんぜん違うの」
いつものようにルミィはサリアに魔法の事を教えている。
「あ、そうだった?」
13歳になり、成人の儀をするまでは、大自然に関わる魔法は禁止なのだが、その為か、それとも好奇心からか、とにかく魔法の事はこうやって話題にのぼりやすい。
ちなみに大自然に関わるという事は、自然にもともとある物に対して魔法を使って干渉するという事。空間魔法や創造、重力なんかは含まれない。
僕も成人の儀の次の日から伯父さんの『自然に関する魔法講座』に……襲われた。
「古代魔法は大変危険で、心に迷いがあったりすると使えないし、代償が要る場合もあるわ。視力を失ったり……ね」
最後の文でサラの顔が強張った。
「ルミ姉、それ笑えないよ?」
「あ、それもそうね。色んな本で知ってはいたけど、サラはあんまり意識してないでしょ?結構、古代魔法って使う人少ないのよ」
……よく、僕とルミィの意見が合う、ってのも言い忘れちゃ駄目だよね。
三人が三人とも、この時間を楽しんでいたんだ。
だけどさ。
「兄さん、古文書の漂白薬作ってていい?」
「漂白? ああどうぞ」
投げやりに言ったのは僕。
……トラブルは突然に。
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