10人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらくして
地下室に響く轟音
爆発
反射的にルミィを抱き寄せた。……ルミィの目の事を心配したのか、それとも他の考えに基づいてか、今となっては忘れたけど。
「カル? ……何が起こったの?」
ルミィが戸惑いながら聞いてきて、それに答える。
魔法薬の失敗で大爆発、なんて、コメディならまだしも実際にはこんな被害を生むのに。
「サラが……満月草のいたんだのを入れたんだと思う、ほら、今日は満月だもん。摘んで3週間で棄てなきゃいけなかったのに1ヶ月前のを……。見せるよ」
はっきり言ってこれを直視するのはきつい。
自分の声が辛そうに震えていたのは、気づかないふりで
魔法を発動する。
「我が目、わが視覚、この者につながりて貸し与えよ -視覚接続-」
はっきりと見えるように。
「あ、え、カル?ありがと」
ルミィの後頭部に手を置いて。
「頭の中に映像が流れ込むのって、慣れない……」
「ゴメン、気分悪いよね」
「……大丈夫。いろいろと」
ルミィの呟きは消えていったが、それよりも
「……サリア」
「……サラ」
壁際に倒れた一人の少女
もう、彼女は笑顔を向けることも、古文書を読むことも……。
「-治癒!- -治癒!-」
「心臓は……止まってる」
脈を確かめて怯えるルミィと僕。
「心臓マッサージ……だっけ?」
必死で記憶を探る。
「私、やっておくから人を呼んで来て」
「ありがと」
工房から出て伯父さんと父さんを呼ぶ。
<><><><><>
「つれて き た。」
大きな治療施設が無い田舎だからと、こういう処置は学んでいたのだが……。
「魔力が……魂が……抜けるのが見える…………」
「え! ルミィ? 見えるって」
次の瞬間、微妙な感覚を他の面々も感じ取り……その場にいた家族全員にも絶望が押し寄せた。
サリアは逝ってしまった……。
僕の平和な日常が崩れた二週間前の話
最初のコメントを投稿しよう!