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「命に別状はないのだろう?」
「ああ。取り敢えずはな」
怪我人が怪我人の状態を聞くのも滑稽だと苦笑いしかけた彼だったが、すぐに表情を堅いものへと戻す。
「それで、一部始終を見ていたのはお前だけか?」
まずはしっかり状況確認をすべきだと、そう聞いてみるとアルカードの表情こそ伺えなかったのだが、低い声音で応えてくれる。
「ルヴァンはお前が与えた命を遂行中だったからな。加えてこのお祭り騒ぎだ、目撃者は皆無に近いだろう。残念ながらな」
そこまで言って中途半端に止まるアルカードは、そのまま勢い良く振り返ると、彼の肩を掴んで続けた。
「カイ、私はシリルをここから無事に送り届ける」
「分かった。では俺は、この目で状況を確認しに行くよ」
「宜しく頼む。こちらの手筈は全て私に任せておけ」
アルカードは片手を上げると、自国に棲む妖精すらも虜にするという笑みを浮かべ、苦笑いする彼を置いて行ってしまう。
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