第二章・―予感―

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 ここ、トランシルヴァ王国は今日も平和な時が流れている。  世界の丁度中心辺りに在るとされるサウスパレス王国の南側に位置する、海と山とに囲まれた自然豊かな王国である。  そこは各国の中で唯一モンスターや精霊、妖精などといった人外の者が多く生息する土地でもあるため、大変貴重で珍しい土地を有している。  王国の人間はそんな彼らと共存する事によって、他に類を見ない副産物や織物、特殊な作物などを生産したり消費する事により、魔法石なども作成出来得る最良の場所なのだ。  そしてその道において高い技術を持つ彼らは、様々な成果を各国へと輸出する事によって利益を得ている、輸出入の盛んな土地でもある。  互いに助け合い、技術力を高め合う事により日々クオリティは価値のあるものへと進化していて、種族の違う存在も受け入れる度量の深さから、世界でも戦争の少ない国だと注目を集めている。  そんな生活環境でも争いはゼロとは言えず、僅かな違いから生じる諍いをも穏便にまとめ、王国を賢明に治めているのはトリヴァニア王であった。  そんな王の第一子が、アルカード王子である。
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