第二章・―予感―

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 例え結果がどのようになろうと、大抵の場合国で起こる問題は国で解決するものである。  戦争などで戦力が必要であるなど、協力を要請されれば同盟国ともいえるのだから、兵を赴かせるだろう。  だが王の暗殺問題となれば、こちらが下手に話に加われば、万が一失敗した時に国際問題にまで発展しかねない。  その事を知っている彼も、まさか頭ごなしに“手助けしに行け”とは言わないだろうと、少々たかをくくりながらの一言だった。  するとガンダル王はそれには素直に首を振ってくれたのだが、続けざまに実に神妙な面持ちで、意外な事を言ったのだった。 「そうではなくてな。問題が解決するまでの間、シリス姫の身が危険なので、この国で保護していて欲しいとの話なのだ」 「ヴォルグ王の一人娘の、シリス姫を……ですか?」  この国で王族を匿うのであれば、当然ながら身分を偽らなければいけない。
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