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命をつけ狙う輩に名前を知られている可能性もあるから偽名を使い、更には外見も少し変えなければいけないだろう。
王族同士はともかくも、滅多に姿を目の当たりにする機会はないとはいえ、無理をすれば肖像画で知る事も可能であるし、一度でも顔を見た人間が仲間内にいる可能性もある。
そんな事を考えながら戸惑った声を出す彼に、ガンダル王が伺うように顔を見詰めてくる。
「うむ。出来るだろうか、カイル」
「それは……。出来ない事もないでしょうが、姫君をもてなすには、あまり良い扱いにはならないかと存じ上げます」
それには即座に頷く彼だったが、束の間沈黙してそう続ける。
思っていたより快く引き受けてくれた事が嬉しかったのか、ガンダル王の表情が途端に明るくなり、時間が惜しいようにしてまくし立てるようにくちをひらいた。
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