第三章・―アルカードの提案―

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 翌日、アルカード王子がサウスパレス王国を訪問した際に国の民はそれを祝い、大々的に王子を迎えた。  元々トランシルヴァ王国と国交があるとはいえ、これ程に歓迎されるのは珍しくもある。  アルカードの美貌も手伝っているのだろうが、単純に彼と懇意にする間柄だという事も知れ渡っているのに加え、民からの人望も厚いお陰でもある。  とにもかくにも、特に訳も知らされないままの、突然の訪問に疑問すら抱く事もない女性陣が、アルカードに対して熱狂的になっていた。  恐らく民のほとんどは、アルカードが恋人候補でも探しにきたのだと思ったのだろう。  知らない方が良いと、取り敢えずはそういう事にしておいて、彼が先陣を切って出迎える。  それから休む間もなく彼の案内で、ガンダル王との謁見へと臨むのであった。
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