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広い室内の一番奥に、ガンダル王が鎮座する玉座が設置された謁見の間にてーー。
玉座に座るガンダル王と、前に跪くアルカードが深刻な表情をしながら向き合っていた。
「……成る程。それで私を呼んだのですね」
全ての事情を聞き、納得した様子のアルカードが応える。
二人の背後で謁見の間の扉を護るように立っている彼の態度に変化はない。
ただじっと、その話に耳を傾ける風もなくそこにいるだけだ。
「アルカード王子、久方振りに訪問して頂いた上突然の申し出で困惑しているだろうが、このような事を頼めるのは君しかいないと、そう提案してくれたのは他ならぬカイルなのだ」
ガンダル王に言われて、アルカードは振り向いて彼の方を見る。
だが、彼の様子に変化はなく、それでもう一度ガンダル王の方へと視線を戻したアルカードは、実に軽快な口調と爽やかな笑顔で続けたのだった。
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