第三章・―アルカードの提案―

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「分かりました。初めからそのつもりで伺ったのですから、断る理由もそのようなつもりも端からありません。むしろ私に出来る事があるのならば、どうぞ遠慮なく、何なりと御命令下さい」  優雅に一礼しながらアルカードが言う。  端正な顔立ちと透き通るような声音に、ゆったりとした仕草は実によく合っている。  しばらく顔を伏せていたアルカードだったが、やがて背すじを伸ばすと、満面の笑みを浮かべていた。 「うむ。アルカードがついてくれるのならば、これ以上の安心はない。本当に、くれぐれも頼んだぞ」 「お任せ下さい。必ずやガンダル王の御満足いく結果を出して見せましょう」  再び一礼し、退室の意を述べたアルカードは彼に目線で合図すると、濃紺のマントを颯爽と翻し謁見の間を去った。  それを見届けてから、彼もガンダル王に一礼し、同じように謁見の間を後にする。
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