第三章・―アルカードの提案―

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 実際年齢はアルカードの方が上なのに、持ち前の人懐こさと明るさから、普段から落ち着いている彼の方が年上に間違われる事もしばしばある。  そうとはいえ馴れ馴れしくして良い理由にもならず、やはり国も身分も違うため二人が純粋なる交流のために逢う機会は極端に少ない。  そのため今回の騒動は一見して面倒ではあるのだが、アルカードからしてみれば、大々的に彼と逢う理由を見付けられたも同然なのだ。  それがとても嬉しいのか、全身から幸せオーラが溢れているといっても過言ではない。  久し振りの再会を素直に喜んでくれるアルカードに対して、密かに楽しみにしていた彼の表情も思わず綻んでしまう。  それで二人は連れ立って、颯爽と執務室に入るのだ。  ーーしかしその数分後。  アルカードの提案を聞いた彼は、思わず綻んだ表情を引き締めて、苦い顔をしながら愚痴をこぼしていた。
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