第三章・―アルカードの提案―

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「……何? 舞踏会を取り止めて、武術大会を開きたいとは……。正気かアルカード?」  訝しげな表情も隠さず非難気味に彼が言うのに、アルカードは満面の笑みで頷くばかりだ。 「あぁ、本気だよ。この案ならば舞踏会よりは面倒でなく、且つ私は久々にカイと本気で闘える」  提案の前半部分は確かに、彼にとっては非常に魅力的なものだった。  舞踏会を開けば当然近隣諸国のご婦人方も招かねばならないし、それによって生じる精神的疲労は、彼やアルカードでなくとも簡単に予想出来る。  年齢問わず華やかな場面が好きなご婦人方ならば、飽きる事なく舞踏会を楽しめるだろう。  だが、一国の王子であり花嫁候補を募集中との噂も名高いアルカードなどは、その相手をするのにひっきりなしに会話をしなければならなくなり、かえって自由自在に身動きが取れなくなる可能性も出てくる。
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