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細々とした雑事も滞りなく進み、武術大会に出場するための選手が、続々とサウスパレス王国に集まってくる。
そんな中で、人ごみの中に紛れた一組の男女が視線を合わせると、束の間驚愕の表情を浮かべる。
「……お前」
「ちっ、このようなところで会うとはな。……まさか、そちらも仕事できたのか?」
動き易く、軽装ながらも隙のない衣服に身を包んだ美女が心底嫌そうに言う。
すると、長髪を濃紺のリボンで結った、一見華奢そうだが美形ではある、そんな男がため息を吐きながら近寄ってきた。
「リディウス、お前の雇い主は?」
美女が聞くが、男、リディウスはそちらを一瞥するだけで、小さく舌打ちしながら低い声で応える。
「そのような事は、聞くだけ野暮と言うものだ」
リディウスも軽装ではあるが、一見騎士のような格好をしており、簡素ながらも銀色に鈍く光る鎧を身に纏っていたりする。
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