アルカードとはサウスパレス王国の南側に位置する、海と山に囲まれた自然豊かな王国に生まれ育った王子の事である。
とある事件をきっかけとして出逢った彼とは旧知の仲で、本当の家族以上に親しく付き合っている間柄でもある。
そのアルカードが急にサウスパレス王国を訪問すると書簡を寄越したのは、つい先日の事であった。
何故そうなったのかを承知しているだけに、厄介事しか起こらない未来を見てしまいそうになるが、今から弱気では駄目だと振り払い、代わりとばかりにため息混じりに答える。
「一週間後にはこちらに到着する筈だと連絡をもらったのだが」
やはりいつも以上に疲れているのだなと察知したゼルが苦笑いをすると、彼の苦労の程を思い労いの言葉をかけてやる。
「私も手伝うから、ちゃんと頑張るのだよ」
「言われなくとも、既にそうしているよ」
今回は色々とトラブルも絶えないようで、彼は早くも疲れきっていた。
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