ファン心理 -思春期-

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ファン心理 -思春期-

ほとんどの人は思春期に自我が目覚め、精神と肉体のアンバランスさを経験する。   幼少期の趣味嗜好を排除し、音楽に興味を持つ人もこの時期に多い。   周囲に合わせるように日本のポップスを嗜好するか、或いは個性を求め少数派の洋楽またはロックに魅了されるか道は分かれている。   この時、個人にとって少数派のロックは何か特別な魅力を感じさせるが、同時に身近なところで共感する相手が極めて少ないと気づく。それが、リアルタイムを代表するアーティストであればまだ救いがたいが、自身が生まれる前や幼少期のクラシックスになると更に可能性は低くなる。   幼稚園や小学校ではクラスのみんなと同じ遊びをし、同じ給食を食べていたという連帯感すら感じることができずに孤立してしまう。   それでいて自身の好きなロックの魅力が絶対的なものとなると、その音楽的嗜好こそアイデンティティであり、ロックを誰かに聴かせ感動してもらうことで、自己をアピールし連帯を生み出そうとする。   ここで「なぜ、みんなロックを聴かないんだ!」という心の叫びが生まれる。   孤独は自己中心的な思考を生む。 「大衆音楽は悪だ」という図式の出来上がりである。   それこそが学校という小さな社会に対する嫌悪感であり、パンクロックの一精神であるのだが…。   初めて体験するロックはアーティスト数も少なく、似通った音楽性であることが多いため、その世界観は非常に狭い。 ただし、現在ではロック クラシックスに対する入口は広く開かれてるため、思春期におけるロックがどのジャンルになるかは偶然性が高い。
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