ねえ

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 ねぇ、って呟いた。 誰も居ない…そう思える暗い部屋。 でも、呟かれた声が闇に溶けきる前に、淡い光が部屋を包んだ。 「おかえり」  ベッドから半身を起こした人が、リモコンを片手にこちらを見ている。 「…ちゃんと手は洗ってきた?」 「ん…」  立ち尽くしたままのボクを、その人は手招いた。 ゆらん、と長い髪が背中で揺れる。
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