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「班乃っ、班乃!」
演劇部の朝練が終わり教室へ向かう途中、班乃明は担任から呼び止められた。
「おはようございます」
軽く頭を下げ規則正しく朝の挨拶。何気ない日常の一場面…だが朝からいきなり呼び止められる程のなにかが班乃には思い浮かばなかった。
クラスで何かあったのか?
担任が急用でHRに出れなくなった?
はたまた生徒会の仕事が増えたのか?
色々考えたが、生徒会の仕事が増えるのだけは勘弁してほしい。目まぐるしく思考を巡らす班乃だったが、そんな不安は杞憂で終わった。
「今日うちのクラスに転校生が来るから、委員長に宜しく言っとこうかと思ってな」
「転校生、ですか?わかりました」
一応返事はしたものの、わざわざ自分に宜しくする必要性などないのではと思う。自分のクラスには良い意味でのお節介が多い。そんな事せずとも彼らに任せて置けばなにも問題はないだろう。
『どんな子かは分からないですけど…特別何かしなくても困ってる時に手を貸してあげるだけで問題ないでしょう』
そんなふうにのんびりと考えつつ班乃は教室へ入り席へとつく。クラスメイト同様、班乃も良い意味でのお節介やきである自覚はないようだった。
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