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こうして植野の希望は脆くも崩れ去り、鈴橋は昼食を食べ終え、班乃は安積をダシに植野をいじる事を覚えたのだった。
「だからさ、文化部で何かオススメない?」
「文化部ですか。文化部と言ってもこの学校は結構数ありますよ?茶道、華道、琴、栽培部…っと、学君は栽培でしたね。」
「えぇ、まぁ」
「栽培部!?すげぇっ!俺朝顔ですら育てらんないのにっ!」
「お前は小1からやり直せ」
「がっくんっ´д`。」
ブリザードは人種を選ばず有効らしい。
「あっきーはなに部なの?」
「あっきー…って僕の事ですか?」
普段名字か会長としか呼ばれないため思わず辺りを見渡した班乃だが、周りにあっきーと呼ばれそうな生徒は居ない。そして安積の視線は自分に向いていた。
「ぅん? あっきー以外にあっきーは居ないでしょ?」
キョトンとした安積はもう一度あっきーと口にすると、ピっと班乃を指さた。
「……」
安積を暫し驚き顔で見ていた班乃だが、自分を呼んだのだと理解した直後嬉しそうに、そして照れたように笑った。
「僕は演劇部ですよ。台本から衣装、大道具小道具、全て自分達でやるので遣り甲斐はあります」
飲み終わった牛乳パックを近くのゴミ箱に見事にダイブさせ、“どうですか?”と付け加えた。
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