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「演劇部かぁ…」
地面に視線を落とし、なにやら考えている安積。まさしく考える人ポーズ。自分の時とは違い、真剣に考えている様子に若干寂しさを覚えた植野だが、それを他所に、鈴橋は天気の良すぎる空を見ながら
『水、あげに行った方が良いな』
などと考えていた。
「演劇部っていっぱい走る?」
「え?えーと、走ったりはしませんよ。発声練習で筋トレはしたりしますけど」
そんな二人の会話の途中、徐に立ち上がった鈴橋は、弁当箱を持って屋上出入り口へと向かった。
「あれ、がっくんどこ行くの?」
「水やり。天気良いから」
The フリーダム
きっと鈴橋なら多重ロックオン機能搭載済みで、犯罪級な水やりも可能だろう。
「本当学君、植物育てるの好きですよね。部活と言うより趣味感覚」
「なんか、将来盆栽とか趣味にしてそう…」
「確かに」
言い得て妙だ。
意見が一致した班乃と植野は、顔を見合せて笑った。その時、今の今まで考えていた安積がパッと顔をあげ、「はいっ」と元気良く手を上げた。
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