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『ヤバいっ!この流れは絶対にヤバいっ!?このまんまじゃ女の子役定着しちゃうっ!』
こう言う時最初についたイメージは、絶対消えないで残るものだ。それだけはなんとしても避けて通りたい。まだ入部前だと言うのにあんまりだっ!
なんとか回避出来ないものかと次の言葉を探している時、徐に腕を捕まれ立ち上がらされる。
「っ!?」
腕を掴んだ人物を見ようとすれば自と見上げる形となった。
「重宝されますよ。今部内で身長低い子いないですから」
「……」
「やー、良い人材見つけちゃったねぇ、会長!!今から楽しみだなっ!せーちゃんの女の子役っ☆」
「~っ!!」
勧誘に失敗した悲しさか、逆恨みか…ヤケに嬉しそうに笑った植野は丁度良く鳴った昼休み終了の鐘と共に立ち上がり、通りすがりに安積の頭をぽんっと叩くと、そのまま屋上を後にした。
「あっきー…」
見事に言いくるめられ今にも泣き出しそうな表情で班乃を見上げるが、見上げた先の表情は、先程演劇やりたいと言った時の安積よりも輝いていた。
「放課後、楽しみにしてます」
有無を言わさずなその笑顔。
『…背後からほの暗いオーラ出てる気がする』
こうして、安積は演劇部入部が決まり、鈴橋は無事に多重ロックオンで花壇の水やりを終えたのだった。
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