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何を期待していたんだこの男は…
呆れる鈴橋を他所に、植野と誰だか分からない2人は楽しそうに会話を続けている。突っ込むのも馬鹿らしく、放置することに決め空を眺める。
今日は天気が良さそうなので、きっと傷付いた苗も元気になってくれるだろうと考えながら。
「まぁ、そう言う事だから是非仲良くしてあげてねっ!」
「了解っ!」
そうして嵐のように現れた少年は終始マイペースに喋り倒したかと思うと、嵐のように颯爽と踵を返し消えていった。
来る時も急だが、去る時も急だ。呆気にとられその姿を見送ると、隣に居る植野を見上げる。彼が誰か事など知らないが、自負できる程交遊関係の狭い自分の事だ。知らないのは自分だけという可能性は捨てきれない。植野は普通に会話していたし、きっと知り合いだったのだろう。
「…で?」
「ん?」
「あいつ誰だよ?」
「さぁ *´v`*」
「「………」」
「行くか、HR」
「りょ!」
『…こういう奴だよな。こいつは』
まぁ、誰とでも直ぐに打ち解けるのは悪い事ではない。些かノリとテンションで生きすぎではないかと思わないでもないけれど。
結局先程の彼が誰なのか疑問を残したまま、再び二人は教室へと歩き出したのだった。植野一人、鈴橋の機嫌がなおった事をひっそり喜びながら。
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