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悪い夢
一粒の涙が頬をつたい、尚也は目を覚ました。
あれからどのくらい時間がすぎたのだろう。
降っていた雨もやみ、窓から差し込む光は夕日だろうか、辺りが一面薄く染まっていた。
昔のことを夢で見るのは何年ぶりになるか、昼間を過ぎ今まで目覚めなかったことから、よほど疲れていたのだろう。
尚也はそれは悪い夢を見たとばかりにため息をつき寝返りを打った。
『よぉ、やっと起きたか』
尚也が起きるまで、ずっと待っていたかのように少年はクックッと笑う。
その瞬間、全てが事実であったことを思い知らされると同時に、激しい頭痛に襲われそうになり、かろうじでそれを耐えた。
『…それで?夢から覚めた気分は?』
『最悪だな……』
゛何だって今更あんな夢を?
あぁ、雨のせいか。
それにしても、次から次へと…"
尚也は起き上がるなり頬杖ついてため息をついた。
少年は近くの机の上に座っている。
この時、視線が合った。
昨晩は暗く、疲れていた為よくは見ていなかったが、年の頃は17かそこらだろう。
すらりと背が高いが尚也程ではない。
それでもって、少しがっちりとした体格をしている。
言われた後でよくよく見れば、体が透けて見えないこともない。尚也は鼻で笑った。
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