はじめに

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平成21年9月3日。 暑い残暑が残る日の事。 まだ若い高校2年の少年がいた。 福島県から茨城県の阿見町まで両親と車で向かっていた。 少年の名前は 鳥羽 英治。 11月3日の文化祭に間に合う様に、先に段取りを始めていた。 英治は2-C組のクラス。 2学年の文化祭の内容は、『神風特別攻撃隊の資料館』というものだった。 4日前、英治はクラスメートのみんなに 『俺の爺さんは、元特攻隊員だけど、もしよければ取材に行くけど。』 と言い、 クラスメートの一人が 『凄い。なら詳しい事をいろいろ聞いてきて。』 と。 次の日がちょうど土曜日だったため、学校が終わってから出発の準備をすすめ、土曜日の早朝5時から福島県の郡山市から、茨城県の阿見町まで取材に行ったのである。 家を出てから5時間後、英治と両親は、午前10時前に阿見町にある老夫婦の家に到着した。 両親と英治は、玄関前に立つと 『おや。もう着いたの?』 と一人の老婆が話しかけてきた。 母親は 『富江ばあちゃん。お元気そうで何より。』 と言い、富江は 『あなたー。鳥羽さん一家が福島からやってきたよ』 叫んだ。 そこへ居間にいた老人がヨタヨタ歩きで 『よく来たのぉ。』 と言った。 老人の名前は昭栄という右目を失った老人である。
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