二人静に誘われて

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化け物は散りばめられた文字の呪縛によって自ら時を刻むことが出来ないらしく、石のように固まった状態だ。 泡沫に包まれた文字だけが時に縛られることなく浮遊している。 真相は知らないけど。 だがその巨躯から想像もつかない程の悲しそうな表情を零していた。 そもそも地下室なのだろうか、見掛けの扉はあるがノブがない、回せない、引けど押せど微動だにしない、なので確認すら出来ない。 四方を見渡しても小窓すらない部屋なので当然一度もこの夢の中で外の景色を見たことがない。
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