沈黙の昼飯。

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「…。」 着いてしまった。 まぁ、隣のクラスなので簡単に着けるが、爽也にとっては長い長い道のりの様に感じた。 「…よし。」 ようやく意を決して3Aのドアに手をかけた。 「邪魔。」 「あ、ごめん…ってあ。」 「…春野か。」 「あっ!名前覚えてくれたんだ!」 「あれだけしつこく言われたらな…。で、何用だ。」 「あ、えっとな。」 「昼飯一緒に食べないか?」 「全力で断る。」 …………。 「断るの早っ!」 「当たり前だ。何故昨日今日知り合った奴と食べなければならない。」 「うん、…でも食べたいんだ!」 「なら一人で食え。(…とうとうあの二人から追い出されたかボソッ」 「違う!追い出されてない!」 「…なら何故私に構う。」 ―――…どうせ興味本意だろ? その一言が妙に心にのし掛かる。 確かに興味本意だ。 言い返せない。 「…。」 反論できない。 …だけど、これだけは言える。 「…?おい、どうした。」 春野が急に黙り込んだ。 やはり図星か。 今までそんな奴たくさんいた。 そして2・3日するとすぐに離れていった。 ――…人間なんてそんなもの。 皆自分勝手。 皆自分一番。 皆他人は自分の次。 皆…心の中で他人を信用しきれてない。 否、信用しようとしない。 だから私も誰一人信用しない。 「…分かった。」 「…。」 そしてこいつも離れていく。 …面白くないな。 こいつは半日か。 「雪園さんはいつも通りに食べていいよ!」 「…は?」 こいつ今なんと言った。 「だから、いつも通りに食べて。俺は勝手に君と一緒に食べるから!」 いやぁ、頭良いな俺!と勝手に自画自賛を始めた目の前の馬鹿。 いつも通りに食べろ? 勝手に一緒に食う? 「…馬鹿も休み休み言え。」 「ん?何か言ったか?」 「別に。」 そう言うと美姫は自分の席に向かってスタスタと歩き始めた。
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