沈黙の昼飯。

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「すげー、ってあれ?」 自画自賛をさていたら、目の前にいた筈の美姫はいなくなっていた。 「あれ?…あっいた!」 「…(うるさい。)」 既に自席についていた美姫の目の前に座る。 「あっ、椅子借りまーす。…っと。」 「…何故目の前。」 「なんとなくだよ。」 いつものにこにこ笑顔で答える爽也。 …よくこんなに笑えるな、と考えるも、自分の弁当箱を開けた。 「…頂きます。」 「いっただきまーす!」 目の前の弁当はほぼ茶色で、 少食でベジタリアンな美姫には考えられない様な料理ばかりだった。 「…茶色だね。」 「…雪園さんは緑だね。」 お互いに全く違う弁当を見つめて、また食事を再開した。 …それにしても、 (美味しそうに食べるな。) あの弁当をガツガツ食べているが、本当に美味しそうに食べている。 表情が表に出まくり。 いちいち声がでかい。 人望がある。 私とは真逆。 「?おーい。」 「…何?」 「いや、ぼーっとしてたから。」 「…別に。」 「そっか。…あぁ!そう言えばさ。柊から写真部の後輩と食べてるって聞いたんだけど…?」 「あぁ、最初の1ヶ月はそうだった。」 「何で今は違うの?」 「…あいつらは チャイムが鳴った瞬間に窓から侵入してくるし、 無駄に私の隣取り合うし、 挙げ句の果てには他の奴等に喧嘩を売る…。 だからこちらから断った。」 「…凄い…パワフルだね。」 「…騒がしいのは嫌いなんだ。」 「…そんなに騒がしいのは嫌い?」 「嫌いだな。」 また即答か。 「…だが、」 「?」 「たまには、いいかも知れないな。」 「!」 笑った。 …ほんの少し、見とれてしまった。 「…よぉし!分かった!」 「…?」 「明日も食べよう!」 「何を。」 「昼飯!」 「誰と。」 「俺と!」 「…誰が。」 「もちろん!…雪園さんと。」 「…了承しかねる。」 「なら押し掛ける。」 「…ふぅ、分かった。」 「マジで?やった!」 ~さよなら、沈黙の昼飯。~ (よぉ、どうだった?) (俺これから昼飯3Aで食うからー。) (…まさか、これからずっと姫と食べるの?) (あぁ!了承も得た。) ((凄いな。))
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