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「まさかあそこで切られるとは…。最後まで人の話を聞いてくれても良いじゃんか。」
ぶつぶつと言いながら
自転車を走らせると目的の場所に着いた。
「うわぁ…。雰囲気怖…!」
廃校…という訳ではないのに
夜というだけでそんな感じの雰囲気が出ている。
「仕方ない。…入るか!」
意を決して自転車から降り、
自分のクラスの鍵を借りた。
「あったぁぁぁぁ!」
余りの嬉しさにテキストを抱き締める爽也。
そして、帰ろうとドアの方に足を向けた。
「…図書室の電気が…。」
ついてる。
「…。」
こういう時普通は怖がって
図書室を避けて帰る。
しかし“好奇心”と“探求心”がそれを阻む。
爽也は好奇心&探求心に負け、図書室の方向へと向かった。
廊下は電気がついていないので薄暗かったせいか、その先の図書室の電気が強く強調されている。
「着いた…!」
とうとう図書室の前に着き、ドアに手をかけた。
…その時。
ガラッ
「うっわ!!」
「…!」
急に目の前のドアが開き、咄嗟に懐中電灯を向けた。
「…眩しいんだが。」
「へっ?…あれ?」
しかし目の前にいたのはお化けではなく、普通の女子だった。
「えっ?君誰?」
「それはこちらの台詞だ。」
口調が少し変わっているが、気にせず会話を続けた。
「俺は春野爽也っつーんだ。」
「何勝手に自己紹介している。」
「えっ?何となく?」
「…貴方に教える義理は無い。そして邪魔。」
「あっごめん。」
しかし、目の前の少女は爽也が退いた瞬間猛ダッシュして行ってしまった。
「えっ!ちょっと待てって!」
爽也の静止の言葉を聞かず、少女は暗闇の中に溶け消えてしまった。
「うっわ!はぇぇ…。って何だこれ?」
爽也の足元には黒い物が落ちている。
「あっこれ生徒手帳じゃん!」
さっきの少女が落としていった物だろう。
クラスと名前が書いてあった。
「え~っと、3年A組…て隣のクラスかよ。」
そんな小さな驚きをしつつ名前の欄を見た。
「名前は、
*雪園美姫*-ユキゾノ ミキ-
…か。いい名前だn」
「春野爽也!」
「ん…?げっ!チビハゲ!」
※チビハゲ=学年主任。身長が小学生並みに小さく(155cm)禿げているためそう呼ばれている。
「…!お前が中々鍵を返しに来ないから来てやったんだろうが!」
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