氷、

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「…っあー。」 「…?」 何を恥ずかしがっているのだろうか。 …私何か言った? 「…あー、のさ。」 「…?」 未だにしゃがみこんで、顔を隠しているので声はこもっている。 「…男ならはっきり言え。」 「るっさい。…二人には退室願いたい。」 「「…了解。」」 二人は目を合わせ、静かに出ていった。 「…で?」 「…。」 二人が出ていっても床に座り込み、唸っている。 「もう帰っていい?」 「…だめ!」 ベッドから降りようとしたら力強く腕を捕まれ、阻止されてしまった。 「…今から俺が言うこと黙って聞いててくれてる?」 「…分かったから腕離して。」 「うぁっ!ごめん。」 パッと話してくれたが、ブラウスを捲ってみると、薄くだがほんのり赤くなっていた。 「…ごめん!痛いでしょ。」 「別に。」 「…ごめん。」 「さっきから謝りすぎ。…さっさと本題入って。」 「…うん。」 ゆっくり深呼吸をして、私のベッドの横にある椅子に腰掛け、私と目を合わせた。 「…あの虐めね。俺のファンクラブだったんだ…!」 「知ってる。」 「…え。」 「うん、知ってる。」 正に絶望の崖に突き落とされたような顔をしているが、私は大分前から知っていた。 というか、爽也と話すようになってから虐められてきたので、そうだろうなー、とは思っていた。 「知ってたの…?」 「…うん。」 「何で俺に相談してくれなかったの!」 「…相談しなくても解決するかな、と。」 「しなかったじゃんか!」 「うん。…何で怒ってんの?」 「だって友達が危険な目に合ってたらほっとけないでしょーが!」 相変わらず友達思いの良い奴。 だからこそ彼の周りには人が集まるのだろう。 「話、それだけ?」 「…うん。」 「…それじゃあ。」 美姫はそっとベッドから降りて、爽也に微笑んだ。 「…一緒に帰らない?」 ~氷、そして陽の光~ (…~~っ!) (顔赤い。) (気のせいだよ!早く帰ろう!) (はいはい。)
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