沈黙の昼飯。

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沈黙の昼飯。

「…あ、」 あの騒動(?)のあと、普段通りに授業などを終え、昼休みになった。 「…?どうしたの?」 「弁当でも忘れたのか?…やらんぞ。」 爽也を軽く睨み、拓実は自分の弁当を懐に隠した。 「酷っ!忘れてねーし!…雪園さんの事だよ。」 「あら、姫の事?」 「雪園がどうした?」 「あー、あの子いつも誰と弁当食べてるの?」 柊は拓実と食べている。 …他の写真部の子と食べているのか?とも思ったが、写真部の3年は柊と雪園さんしかいない。 「えーっとね、…1・2年生と食べてる…んだったかな?」 「えっ?仲良いんでしょ?」 「…いいわよ?幼馴染みだもの。」 「ふーん、…えぇ!?」 「へぇ、幼馴染みなんだ。」 「あれ?言ってなかったっけ?」 通りであんなに仲が言い訳だ。 中学三年間の間…しかも限られた時間であんな(?)仲良くなれる自信。俺には無い。 「…で、話戻すけど!」 「あぁ、雪園な」 「うーん、でもなぁ。…あの子騒がしいの嫌いだから。」 「うん、それで放課後一人で図書室借りてんだろ。」 「…変わったやつだな。」 「変じ…不思議な子だから。」 「うわ、柊今変人て…。」 「ふふ、自分で行ってるからね、『私は変人だな。』って。」 「へぇ、」 「なぁ、爽也。」 「ん?何だよ拓実。」 「…お前が考えてる事当ててやろうか?」 挑戦的な笑みで爽也に告げる拓実。 そんなに自信があるのか、この野郎。 「…当ててみろよ!」 「あーぁ、ムキになって… “雪園さんと昼飯食べたい。” だろ。」 「!!」 「あら、本当に?」 あり得ない…!と呻き声を上げている爽也を他所に拓実と玖未は、昼飯の準備を始めた。 「えっ!何で昼飯の準備してるの!?」 「んー?俺らは昼飯食ってるから、頑張れ。」 「気を付けてね。あの子本当に不機嫌になると、本投げつけるから。」 「…マジで?」 「まじまじ。」 …本投げるとか…! 無駄にこえぇ! …でも、 「…うん、行ってくる。」 「「いってらっしゃ~い。」」 俺に全く無関心な二人をおいて、一人で3Aに向かった。 (…玉砕かな?) (いえ、珍しがって一緒に食べるかもしれないわ。) (あいつは珍動物か。) (あの子から見たらそうよ?)
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