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「んっ……くっ……!!」
ユリアの目に映るのは腹部を貫く大剣。と、空中に浮かぶ"誰か"。
「あの状況で
見つけられるとはな。
良い目をしてるが……」
誰かは続ける。
「残念だったな……。
ここで……、
ゲームオーバーだ」
男の頬には赤い線があり、一筋の血が流れている。彼女のプラスチック製の髪留めは壁にぶつかった衝撃で弾けとび、髪はだらんと垂れ下がっていた。
「んんっ……!!」
抵抗を止めない彼女は大剣を引き抜こうと必死だ。空中にもかかわらず少し歩み寄った男は愛おしそうにユリアの頬を撫でる。
次第に彼女の抵抗は弱くなり、男を睨んだ黒い瞳は焦点がズレかけていた。
そして遂には大剣にもたれ掛かるようにして、くの字にぶら下がった。
「これで……、
さよならだ……」
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