豆腐。

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豆腐。

 ある日の夕食時、疲れ切っていた僕は、ビールを一口飲んだあと放心状態になった。少しの間、意識が飛んでいた。今日は休日のはずだったが、前夜に会社から電話が入り、急遽出勤になった。ただでさえ疲労困憊だったのだが、今日の仕事がまたハードだった。やっとの思いで家に帰った僕には、エネルギーが殆ど残っていなかった。  ふと我に返り、テーブルに並んだ夕食を眺めた。すると、豆腐の白さが妙に眩しく、僕は豆腐に目が行った。 「豆腐って、こんなに白かったかな…」  僕は不思議に思ったが、疲れのせいか、頭が真っ白になっていく。やがて僕は、無心で豆腐を眺めていた。  どれくらいの時間が経ったのか、気付けばお腹が空いていた。 「ふぅ…、そろそろ食べないとな。いただきます。」  独りなのに、「いただきます」と呟く僕。部屋に寂しく響く声。雨の音が、それを少し和らげてくれた。僕は、ビールを一口飲んだあと、まず豆腐に手をつけた。醤油をかけ、カットネギを乗せ、準備完了。そして口に運んだ瞬間、僕は驚いた。口に広がる、何とも言えない違和感…。 「ん?豆腐ちゃうやん…」
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