見えない壁

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 もう駄目だ、と思っていた矢先の彼女からのメールは俺をかなり動揺させた。  素直に嬉しい!っていう気持ちと、もしかして夢なんじゃないだろうか、という不信感。  アドレスをコピーして携帯に登録すると、俺は迷わず初めて彼女にメールを送った。  すごく驚いたこと、もう駄目だと諦め、ちょっと落ち込んでしまっていたこと。  興奮のあまり気持ちを隠すことを忘れ、感情のままに文を綴ってしまっていた。  あとから冷静さを取り戻した俺は、あまりの浮かれように格好悪さと恥ずかしさを覚えた。  でも彼女とのメールが、そんな気持ちもすぐに消し去ってくれた。  彼女のアドレスから来るメールがただ嬉しくて……  嬉しくて……  以前と変わりないのに、前以上に彼女とのメールが俺の楽しみとなっていった。  でも気のせいだろうか。  サイトを介していないせいか、彼女との距離がグッと縮まったような気がした。 .  
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