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「皐月っ! カッコいい!」
私は皐月の元へと駆け寄りながら、その少し手前で床を蹴り皐月の胸元へ飛び込むように抱きつく。皐月の大きな胸に飛び込むと、なぜかいつも私の気持ちは落ち着くんだ。
うーん、甘あい匂いだなあ。
彼女は子供を諭すように、仕方ないな。といった表情でふんわりと私を受け止めてくれた。
「凛ちゃん何してたの? 遅刻だよ」
おっと、皐月を怒らせたら怖いからなあ。ここはテヘッてするところか?
私は皐月の顔を見上げて舌を出し、誤魔化すような笑顔を溢した。あっ、そうだ。
「今日の皐月、何だか焦ってたみたいだったけど何かあったの?」
「うん、ちょっとね。でも大丈夫」
うーん。心配だなあ。皐月は何かあっても自分だけで抱えこむところがあるからなあ。
私達が会話を交わしていると、トレーニングルーム内に、私を急かすようなアナウンスが響いた。と同時に狼男はコンピューター機能により姿をプツリと消す。
『獣人No.2175撃破。次のNo.を選択して下さい』
皐月は私の頭をくしゃくしゃと撫でながら言う。
「さあ、凛ちゃんも早く着替えて訓練しないとね」 私は元気良く「うんっ!」と答え、首を縦に振った。
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