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都心の冷えきった風と遊ぶように雪がまい、私の頬にゆっくりと身を預けては消えてゆく。先ほどの戦闘で帯びた体の熱を、そっと冷やしてくれた。
ビルの隙間から人間の親子が姿を現し、おそらく母親であろう人物が「ありがとうございます……」と、うつろな表情で礼を言ってビルの奥へと消えて行った。
私は目をとじ粉雪の舞う星空を仰ぐ。
この大宇宙には、いくつの物語があるのだろう? きっと数え切れないほど、沢山の物語がすべての生き物一つ一つにある。
雪達が囁いた気がした。
『なんで泣いてるの?』
しらない。なんでだろ?
『貴女の物語を聴かせて』
いいよ。きかせてあげる。
これは無数にある物語達の中でたった一つの
私の
ちっぽけだけど
とっても大切な物語
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