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「ち……きゅう?」
「そうじゃ。それはそれは豊かな星じゃったそうじゃ」
私は何かを思い浮かべるように目線だけを上に向け婆様の話しの続きを待っている。
「じゃがな、そんな豊かな星じゃからこその争いが起こってな」
婆様は少し悲しげで、遠くを見詰めるような表情をして再び語り始める。
「欲に溺れた国同士の争いがな、その星を滅ぼしてしもうたんじゃ。それは五百年以上も昔に本当に起こった話でな、後に第三次世界大戦と呼ばれ人々が故郷を失う原因となった戦争として語り継がれておるんじゃ……」
まだ小さかった私は難しい話だと感じ取ったのか、やっぱりつまらないといった様子で婆様の膝から飛び降りると
「ばあ様、続きはまた今度。たのしみは後にとっとくねっ」
と言い残し、ぱたぱたと音を立てながら走り部屋を後にした。
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