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───ちゃん
──凜ちゃん
「「凜ちゃん!」」
ん? ……なんだっ? 夢か?
机にうずくまった体勢で眠りこけていた私は、あぁ婆様に会いたいなあ。なんて幼い頃を懐かしみながら、だらしなく口元に垂れた涎(よだれ)を袖口でふいて顔を前にむける。
そこには、さっきまで馬鹿でかい声で私を呼んでいた少女が腕組みをして、しかめっ面で私を見下ろしている姿があった。
「もう! 凜ちゃん何時だと思ってるの?」
そんなの寝てた私にわかるわけないじゃん。
ぼんやりと寝惚けた目を手のひらで擦りながら、あたりを確認するように顔を二度、三度きょろきょろと往復させた。
教室には木製の机や椅子が規則ただしく並べられていて、なんの変哲もなく学園内の日常的な風景をうつしている。
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