はにかみ

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村上はコーヒーを一口啜ると舌に残る苦さに目を細めた。その苦さも今では好物で、15年前の自分には飲めなかったモノだ。 変わったモノも有るが、変わらないモノも有る。 カップを置き横山の寝顔に手を延ばす。伸びて来た前髪を払ってから頬に指の背で触れる。その寝顔は白く綺麗だがやはり15年とゆう年月を重ね男前度が増しているようだ。 しばらく頬の感触を楽しんでいたら突然指先を掴まれた。 「あ、起きたん?」 「…その前に寝とらんし」 無理な悪あがきをする横山に村上は八重歯を見せて笑い掛ける。 「せやな!俺が触り易いようちょっと目閉じてただけやもんな?」 「…」 手を掴んだまま横山は黙って俯いてしまった。 「…ちょ、よこ?」 「…お、おまっ、いちいち恥ずいねん」 握り込まれた手を引かれ村上は横山の腕にすっぽりとはまった。 「へ?」 きょとん と村上は横山を見上げると、うっすらと首から赤く染まっている。 「…鈍感なんか天然なんか…15年も一緒に居るのに未だに分からんわ…」 「…よ、よこ?」 「もー、とりあえず黙っとれ」 ぎゅっと村上を掻き抱き顔を見られないように閉じ込める。横山の行動が分からないながらもゆっくりと背中に腕を回し村上は嬉しそうに抱き着いた。 。
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